東京エレクトロンデバイス<2760>、2027年3月期1Qで営業利益+180%。半導体商社の稼ぎ頭はどこにあるのか
chachamal/Shutterstock.com
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
16:30
東京エレクトロンデバイス<2760>、2027年3月期1Qで営業利益+180%。半導体商社の稼ぎ頭はどこにあるのか
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この記事はここがポイント

  • 2026年3月期はIT関連事業が利益を牽引、2027年3月期1Qで半導体利益は10倍超に急反転。
  • 2027年3月期1Q営業利益179.5%増、通期経常利益136億円へ上方修正。
  • 株価は2026年4月以降に回復、半導体回復期待を先行織り込み済み。

決算の数字が悪くても株価が上がる、あるいはその逆が起きるとき、私たちはつい単純な因果を探したくなる。半導体関連という一語で語られやすい東京エレクトロンデバイス<2760>も、事業の中身に降りてみると少し違う姿が見えてくる。昨秋からの株価と、直近の決算を並べて考えてみたい。 ※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

昨秋からの株価。3,000円割れの谷から4,300円台へ

出所:各種資料をもとに筆者作成

東京エレクトロンデバイスの株価は、2025年9月末に3,000円弱の水準にあった。

そこから緩やかに水準を切り上げる場面もあったが、2026年3月末には3,000円を割り込み、昨秋以降の月末終値では最も低い水準まで下押しした。

局面が変わったのはその後だ。4月から夏にかけて株価は大きく水準を切り上げ、2026年8月時点では4,300円台まで戻している。

株価がなぜ底を打ったのか、その理由を一つに決めることはできない。ただ、この谷と回復のタイミングは、同社の事業が置かれた局面の変化と重なって見える。

「半導体商社」で稼いだのは半導体ではなかった

半導体を商う会社と聞けば、業績も半導体市況に素直に連動すると考えたくなる。ところが2026年3月期通期の中身は、その素朴なイメージとずれている。

同社の通期は売上高2,037億円(前期比5.8%減)、営業利益102億円(同17.7%減)と減収減益で着地した。

セグメントを分けると構図がはっきりする。売上の8割近くを占める半導体及び電子デバイス事業は、経常利益が32億円(前期比47.8%減)とほぼ半減した。会社の説明によると、車載向けは堅調だったものの、産業機器向け半導体の顧客在庫調整と、ウェーハ市場の調整長期化が響いたという。

一方、売上構成では2割ほどのコンピュータシステム関連事業は、経常利益65億円(同24.2%増)と伸ばした。ストレージや保守・監視、セキュリティ関連の販売が好調だったためだ。

つまりこの期は、規模で小さいはずのIT関連事業が、規模で大きい半導体事業の利益を上回って稼いだ。半導体商社という看板だけを見ていると取り落としてしまう構造だ。

1Qで半導体が急反転、受注残が映す局面

その構図が、2027年3月期1Qで再び動いた。

1Qの連結は売上高603億円(前年同期比33.6%増)、営業利益40億円(同179.5%増)と大きく伸びた。

牽引したのは、今度は半導体側だ。半導体及び電子デバイス事業のセグメント利益(経常利益)は23億円と、前年同期の10倍を超える水準に達した。会社によれば、AI関連を中心とした半導体需要の拡大を背景に、製品のリードタイム長期化や価格上昇が進み、産業機器向けを中心に販売が好調に推移したという。

数字の裏づけは受注にも出ている。1Qの半導体事業の受注高は786億円(前年同期比134.6%増)、受注残高は1,192億円(同73.7%増)に膨らんだ。手元の受注が積み上がっている状態だ。

こうした流れを受けて、同社は通期の見通しを引き上げた。2027年3月期通期は売上高2,400億円(前期比17.8%増)、経常利益136億円(同39.5%増)を見込む。半導体の在庫調整が一巡し、需要が回復局面に移ったという会社の見立てが、予想の数字にも表れている。

もっとも、株価が4月以降に水準を切り上げた動きは、こうした回復期待を先に織り込んだ可能性がある。受注の急増や上方修正という事実が後から株価を裏づけた、という順序で読むのが素直だろう。

薄いマージンを回転で稼ぐ、商社型の資本効率

最後に、この会社の稼ぎ方そのものにも触れておきたい。

商社は自ら製品をつくるわけではなく、仕入れて売る。粗利率は薄くなりやすく、同社の2026年3月期の売上総利益率も15%台にとどまる。

それでも自己資本利益率(ROE)は15.6%と、卸売業の中央値である8%前後を大きく上回る。薄いマージンを高い資産回転で補い、資本を効率よく回している姿だ。

半導体という派手な看板の裏で、こうした地味な資本効率の高さが利益を支えている。市況が戻る局面では、この回転力がそのまま利益の伸びに乗りやすい。

筆者コメント

直近1年の同社を、決算と株価を重ねて眺めると、一つの順序が見えてくる。

まず市況の谷で半導体事業の利益が細り、それをIT関連の事業が支えた。次に半導体が急回復し、受注が積み上がり、会社は通期見通しを引き上げた。株価が4月以降に水準を切り上げたのは、この事実の連なりを先回りして織り込んだ動きと読める。

ここで思うのは、市況という一語の便利さと危うさだ。半導体が上がれば買い、下がれば売り。その反射は分かりやすいが、性格の違う事業を併せ持つ会社では、利益の担い手が入れ替わることで、市況ほど業績が振れないことがある。

派手な看板の一語で会社を判断せず、事業ごとの利益の出方と、その分散の効き方に目を向けておきたい。半導体の回復を追うにしても、その果実をどの事業が受け取るのかまで見ておくのが、この銘柄では有効な構えだと考えている。

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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