この記事はここがポイント
- 花王が2026年8月5日に初の株主優待を新設、自社製品等を贈呈
- エイチ・アイ・エスは優待総額を最大10万円に増額、期間延長も決定
- サッポロHD、コジマ、日本ハムも優待拡充、日本ハムは100株から適用
決算発表シーズンには、業績の数字だけでなく株主還元策が同時に発表されることが多く、株主優待の新設・拡充もその一つです。
2026年7〜8月は、こうした優待の新設・拡充を発表する企業がとりわけ目立ちました。
株価の上昇による株式分割、これに伴う対象範囲の拡大も散見されます。
なかでも最大の話題は、これまで株主優待制度を持たなかった花王(4452)が、2026年8月5日に優待そのものを新設すると発表したことです。
同日に発表した中間決算の上方修正と重なったタイミングでの発表でした。
花王、中間決算の上方修正と同日に初の株主優待を新設
花王(4452)は、8月5日に株主優待制度の新設を発表しました。同社が優待制度を持つのはこれが初めてです。
- 基準日:毎年12月31日(初回は2026年12月31日)
- 対象:100株以上を半年以上継続保有する株主
- 100〜399株:抽選で自社製品をプレゼント
- 400〜999株:化粧品セットまたは家庭品セット(各6,000円相当)から選択
- 1,000株以上:化粧品セットまたは家庭品セット(各10,000円相当)から選択
- このほか100株以上の株主を対象に、抽選で現地イベントに参加できる企画も別途実施
同社は「安定的・継続的な配当を軸とし、資本効率の向上を企図した機動的な自己株式の取得を組み合わせる従来の株主還元方針に変更はなく、本優待制度はこれを補完するもの」と位置づけており、既存の配当・自社株買い中心の方針に優待を加える形です。
この優待新設は、2026年8月5日発表の中間決算・通期上方修正と同じ日のタイミングでした。優待未実施企業として知られていた花王が新設に踏み切ったこと自体が、今回の決算ラッシュのなかでも注目度の高いニュースとなり、株価は急騰しました。
決算ラッシュで株主優待の新設・拡充を発表した主な銘柄
花王のほかにも、7月以降、8月13日までに株主優待の新設・拡充を発表した、主な銘柄は以下の通りです(判明分のみ)。
7月
- CRGホールディングス(7041)→新設
- エクスモーション(4394)→新設
- TAKARA&COMPANY(7921)→新設
- ワッツ(2735)→新設
- ジェリービーンズグループ(3070)→新設
- アトラエ(6194)→拡充
- エコモット(3987)→拡充
- フェスタリアホールディングス(2736)→拡充
- コジマ(7513)→拡充
- 明光ネットワークジャパン(4668)→拡充
- 前澤HD(575A)→新設
- エスフーズ(2292)→拡充
- ウイングアーク1st(4432)→新設
- ヤマシンフィルタ(6240)→拡充
- ガーデン(274A)→拡充
- カラダノート(4014)→拡充
- プリモグローバルHD(367A)→拡充
- ギフトHD(9279)→拡充
- トップカルチャー(7640)→拡充
- 信和(3447)→拡充
- ビタブリッドジャパン(542A)→新設
- トーモク(3946)→新設
- ひとまいる(7686)→拡充
- KPPグループHD(9274)→拡充
- enish(3667)→新設
- AZ-COM丸和HD(9090)→新設
- 日本農薬(4997)→新設
- 大黒屋HD(6993)→新設
- K&Oエナジーグループ(1663)→新設
- ウェルネット(2428)→拡充
- 日工(6306)→新設
- ロゴスHD(205A)→拡充
- エルテス(3967)→拡充
- プレステージ・インターナショナル(4290)→拡充
- トーホー(8142)→拡充
- SRSHD(8163)→拡充
- 三菱鉛筆(7976)→新設
- 丸三証券(8613)→拡充
- 栄研化学(4549)→新設
- フタバ産業(7241)→新設
- レイズネクスト(6379)→拡充
- シーラHD(8887)→新設
- グローバルセキュリティエキスパート(4417)→拡充
- 新日本建設(1879)→拡充
- エイチ・アイ・エス(9603)→拡充
8月
- 三洋貿易(3176)→新設
- アスタリスク(6522)→拡充
- QLSHD(7075)→拡充
- 花王(4452)→新設
- サンマルクHD(3395)→拡充
- 横浜丸魚(8045)→新設
- MIC(300A)→新設
- 電気興業(6706)→新設
- Waqoo(4937)→新設
- MIRARTHHD(8897)→新設
- サッポロホールディングス(2501)→拡充
- 日本ハム(2282)→拡充
- ダイコク電機(6430)→拡充
- 旭ダイヤモンド工業(6140)→新設
- 丸山製作所(6316)→拡充
- FCE(9564)→拡充
- 共和コーポレーション(6570)→拡充
- リンクアンドモチベーション(2170)→拡充
- 東京テアトル(9633)→拡充
- アドウェイズ(2489)→拡充
- ハルメクHD(7119)→拡充
- CACホールディングス(4725)→拡充
- ネットスターズ(5590)→新設
- 三陽商会(8011)→拡充
- 三越伊勢丹ホールディングス(3099)→拡充
このなかから、サッポロホールディングス、エイチ・アイ・エス、コジマ、日本ハムの4社について、変更の中身と背景を次のページで詳しく解説します。
サッポロホールディングス、中期経営計画発表と同日に優待を拡充
サッポロホールディングス(2501)は、8月7日に株主優待制度の変更(拡充)を発表しました。
同日には中間決算と「中期経営計画2027-2030」も発表されました。
- 基準日:12月末(年1回)
以下は新設された内容です。
- 100株以上:電子クーポン等1,000ポイント(1年以上継続保有が条件)
- 300株以上:継続1年以上で2,000ポイント相当、3年以上で4,000ポイント相当
- 1,000株以上:継続1年以上で4,000ポイント相当、3年以上で8,000ポイント相当
- 2,000株以上:継続1年以上で8,000ポイント相当、3年以上で15,000ポイント相当
- いずれも電子クーポン・社会貢献寄付・自社ビール・自社飲料から選択可能
- 1,000株以上の株主には「株主優待割引券(20%割引券)」5枚も別途贈呈
- 2026年12月末の初回に限り継続保有要件を問わない経過措置あり、2027年12月末から本来の継続保有要件が適用
エイチ・アイ・エス、年間獲得可能額が最大12,000円分から100,000円分へ
エイチ・アイ・エス(9603)は、7月31日に株主優待制度の拡充を発表しました。
- 対象基準を現行の3区分から5区分に拡大(100〜499株/500〜999株/1,000〜2,999株/3,000〜4,999株/5,000株〜)
- 年間の獲得可能優待金額は、最大12,000円分から最大100,000円分に増額(拡充特別優待3,000円分を含めると103,000円分)
- 優待券の有効期間を1年から3年に延長
- 対象となる旅行商品の価格帯を拡大し、割引率も最大8.3%から最大12%に引き上げ
- 2026年10月31日を起点に、3年以上継続保有した株主向けの長期保有優待(年1回3,000円分)を新設
- 基準日は毎年10月末日・4月末日、拡充の適用開始は2026年10月末日基準から
コジマ、100株以上の優待額を年間3,000円相当から4,000円相当に増額
コジマ(7513)も7月13日に株主優待制度の変更(拡充)を発表しました。基準日は2月末・8月末の年2回で、「株主様お買物優待券」(1,000円券)を贈呈する制度です。
- 100株以上:年間合計1,000円券3枚(変更前)→4枚(変更後)
- 500株以上:年間合計1,000円券7枚→8枚
- 1,000株以上:年間合計1,000円券11枚→12枚
- 3,000株以上:年間合計1,000円券15枚→16枚
- 5,000株以上:年間合計1,000円券20枚→21枚
- 変更は2026年8月末日基準の株主から適用
日本ハム、株式分割にあわせた優待の適用範囲拡大の詳細を決定
日本ハム(2282)は、2026年5月8日に公表していた株式分割・株主優待制度変更の詳細を、2026年8月7日に決定・公表しました。
分割による投資単位引き下げにあわせて優待の対象範囲を裾野方向に広げた形で、100株台の株主にも優待が届くようになったのが今回の変更の骨子です。
- 分割前は100株以上300株未満が対象外でしたが、分割後(単元株数100株)は100株以上300株未満の株主にも新たに優待の対象が広がります
- 分割後100株以上300株未満:継続保有半年以上でオンラインショップクーポン1,000円相当
- 分割後300株以上900株未満:3月末基準でご優待品2,000円相当、9月末基準でオンラインショップクーポン1,000円相当
- 分割後900株以上1,500株未満:優待品3,000円相当、クーポン2,000円相当
- 分割後1,500株以上:ご優待品6,000円相当(5年以上継続保有なら10,000円相当)、クーポン3,000円相当
- 新制度は2027年3月31日基準の株主優待から適用。2026年9月末基準の優待は現行制度のまま
記者コメント
今年の夏は、個人投資家にとって嬉しいニュースが相次ぎました。
これまで優待とは無縁だった花王が新設を発表して市場を驚かせたかと思えば、サッポロホールディングスやエイチ・アイ・エス、コジマ、日本ハムといったおなじみの企業も次々と優待内容をグレードアップしています。
さらに直近では、東京テアトルが長期保有の株主向けに全国のイオンシネマで使えるチケットを追加するなど、既存の優待をより魅力的にアップデートする動きも目立ちました。
こうした企業側の「株主に長く応援してほしい」という積極的なメッセージは、今後の株式投資をさらに楽しくしてくれそうです。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
