ファーストリテイリング<9983>、この1年で株価は大幅高。ROE20%と海外ユニクロ主導の成長を読む
SundryPhotography/shutterstock.com
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
19:00
ファーストリテイリング<9983>、この1年で株価は大幅高。ROE20%と海外ユニクロ主導の成長を読む
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この記事はここがポイント

  • 株価は昨秋から8割超上昇、2026年8月期3Q累計営業利益は過去最高。
  • 海外ユニクロの3Q累計売上は全社を上回る拡大。
  • 前期営業利益率16%超・ROE20%超、小売業平均を上回る高収益体質。

株価がこれだけ上がると、どこかで息切れするのではないか。そんな警戒がつきまとうのが、ファーストリテイリング<9983>だ。

この1年で株価は大きく水準を切り上げ、足元では高値圏にある。だが決算を見ると、その上昇には確かな中身が伴っている。株価と業績、そして事業構造を重ねて読み解いていきたい。 ※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

昨秋からの大幅高、株価は高値圏にある

出所:各種資料をもとに筆者作成

昨秋以降の株価は、力強い上昇基調をたどってきた。終値は2025年9月末の45,040円が起点で、ここが昨秋以降で最も低い水準だった。

そこから右肩上がりに水準を切り上げ、2026年6月末には82,810円と、昨秋以降で最も高い水準まで駆け上がっている。9カ月ほどで8割を超える上昇だ。

足元では、7月末が78,190円、8月時点は78,720円と、高値圏でやや落ち着いた推移となっている。急ピッチの上昇を経て、いったん高い水準で足踏みしている局面と読み取れる。

2026年8月期3Q累計は営業利益6,144億円、過去最高ペース

株価の高値圏を支えているのは、力強い業績だ。2026年8月期の3Q累計は、売上収益(IFRS)が3兆651億円で前年同期比17.1%増、営業利益は6,144億円で同36.2%増、親会社の所有者に帰属する四半期利益は4,261億円で同25.6%増となった。

会社によれば、ユニクロ事業がすべての地域で増収増益となり、連結全体で過去最高の業績を達成した。売上総利益率も前年同期から改善し、54.9%まで高まっている。

この勢いを受けて、会社は通期の業績予想も引き上げた。営業利益予想は従来の7,000億円から7,300億円へと上方修正している。好調が下期も続くという見立てが、その背景にある。

成長を牽引するのは、海外ユニクロ

ファーストリテイリングの成長の中心はどこにあるのか。セグメントを見ると、その答えは海外ユニクロ事業だ。

3Q累計の売上収益は1兆8,340億円で前年同期比25.9%増、事業利益は3,453億円で同45.4%増と、全社の伸びを大きく上回る勢いで拡大している。中国大陸から北米、欧州まで、幅広い地域で増収増益が続いた。

国内ユニクロ事業も、売上収益8,676億円、事業利益1,729億円と着実な増益を確保した。かつては国内が中心だったこの会社は、いまや売上の6割近くを海外ユニクロが占める、グローバル企業へと姿を変えている。

「衣料品は薄利」という常識と、際立つ高収益

アパレル、とりわけ衣料品の小売は薄利多売の世界、というイメージが根強い。だが1次情報が描くファーストリテイリングの姿は、その常識とは大きく異なる。

前期にあたる2025年8月期の営業利益率は16%を超え、これは小売業の中央値であるおよそ4%を大きく上回る。ROEも20%を超える水準で、業種中央値のおよそ7%の2倍以上だ。

この高収益を支えているのが、高採算の国内・海外ユニクロだ。効率的な生産と世界規模の販売網が、薄利になりがちな衣料品ビジネスを、高い利益率のビジネスへと変えている。株価の高値圏は、この収益力への評価という側面が大きいと読み取れる。

筆者コメント

印象的なのは、株価の急ピッチな上昇にもかかわらず、業績がそれを裏づける形で伸び続けている点だ。

株価が1年で大きく水準を切り上げると、どうしても過熱を疑いたくなる。だがこの会社の場合、決算は過去最高を更新し、通期予想も引き上げられた。株価の上昇は、期待の先走りというより、実力の反映という色合いが濃い。

その実力の源泉は、海外ユニクロの伸びにある。国内で磨いた高採算のビジネスモデルを、世界の市場へ横展開できている点が、他の衣料品小売とこの会社を分けている。

もっとも、高い期待がすでに株価に織り込まれているのも事実だ。ここから先は、海外の成長がどこまで続くか、そして為替や各地域の消費動向がどう振れるかが、株価の次の方向を左右する。高値圏にあるいまこそ、成長の持続性を冷静に見極めておきたいと考えている。

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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