この記事はここがポイント
- 住友商事株価は7月1日株式分割後、7月22日には1,600円台への回復
- 2027年3月期は連続最高益計画、非資源と航空機リース事業が主な成長点
- 2026年3月期は過去最高益6,003億円、年間配当150円と自社株買いも
2026年7月22日の東京株式市場は、小幅安で取引を終えました。
前日の米国市場ではAI関連企業の回復や主要企業の好決算が好感され、NYダウなど主要指数が反発。
この流れを受けて東京市場は続伸して取引を開始し、指数寄与度の大きい値がさ半導体株に買いが集中したことで、大きく続伸する場面がありました。
もっとも、円安・ドル高の進行や中東情勢の緊迫化を背景とした原油価格上昇への懸念などから、後場に入ると戻り待ちの売りが強まり、上げ幅をじりじりと縮小。
大引けにかけてマイナス圏に転落し、小幅反落して取引を終えています。
業種別では、非鉄金属、銀行業、卸売業などが上昇した一方、サービス業、空運業、小売業などは下落。
個別では、キオクシアホールディングス、、フジクラ、村田製作所、TDK、ファナック、京セラ、住友電工、ディスコ、三菱商事などが買われました。
こうした市場環境のなか、総合商社大手の住友商事(8053)も卸売(商社)セクター全体への資金流入を追い風に堅調に推移し、終値ベースで7月7日以来、約2週間ぶりとなる1,600円台を回復しました。
同社株は2026年7月1日を効力発生日として、1株から4株への株式分割を実施したばかり。
分割から3週間が経過した足元の株価を振り返ると、分割直後にみられた1,500円台前半までの調整局面を経て、このところは上値を追う展開になりつつあります。
投資に必要な最低金額が4分の1に引き下がったことで、個人投資家層の「ステップイン(新規参入)」が期待される住友商事。
市場の関心を集める同社の足元の株価水準や投資指標は、現在どのような状況になっているのでしょうか。
本記事では、住友商事の最新の株価動向とあわせ、PERやPBR、配当利回り、7月31日に予定されている2027年3月期第1四半期決算の見どころなど、詳しく見ていきましょう。
住友商事(8053)の最新株価と主要指標(2026年7月22日終値ベース)
住友商事の2026年7月22日の終値は1,604円でした。
足元の主要な投資指標は以下の通りです。
- 株価(終値):1,604円
- 前日比:+1.94%
- 始値:1,594円
- 高値:1,623円
- 安値:1,580.5円
- 出来高:10,381,300株
- 時価総額:7,667,859百万円
- 売買代金:16,659百万円
- PER(会社予想):12.15倍
- PBR(実績ベース):1.65倍
- 配当利回り:2.49%
終値ベースで1,600円台を回復するのは、7月7日(1,609.5円)以来、約2週間ぶりです
次に1年の値動きもチェックしましょう。
住友商事(8053)の年間チャート
同社株は5月の決算発表を機に急上昇し、同月中旬に上場来高値を記録したものの、その後は調整局面に移行しています。
具体的には、5月1日の場中に発表された決算内容(過去最高益の見通し、増配、自社株買い、および1株→4株の株式分割)が大きなポジティブサプライズとなり、同日はストップ高(分割後換算の終値1,710円)を記録。
その勢いのまま買い進まれ、5月13日には上場来高値となる1,943.8円まで上値を伸ばしました。
しかし高値更新後は、中東情勢の緊迫化や半導体関連銘柄への資金集中などを背景に、5大商社の一角である同社株にも利益確定などの調整売りが優勢となり、下落基調へ転じました。
7月1日の株式分割以降は、横ばい圏で推移しています。
住友商事の年間チャート
7月31日発表の「1Q決算」で注目すべきポイントとは
2026年7月31日に予定されている、住友商事の2027年3月期 第1四半期(1Q)決算発表が目前に迫っています。
足元では米国とイランの軍事衝突をはじめとする中東情勢の緊迫化に伴い、原油や金属などの資源価格が高騰する一方、ホルムズ海峡の混乱(実質的封鎖)に伴う物流制約やサプライチェーンへの悪影響が懸念されています。
同社に限らず、五大総合商社にとって、今回の1Q決算は5月の期初段階で示した「資源高のプラス」と「ホルムズ海峡混乱による物流マイナス」の見立てが、実際の業績にどう表れたかを確認する「最初の答え合わせ」の場となります。
2026年3月期(前期)決算振り返り:過去最高益6,003億円を達成
まず、2026年5月1日に発表された2026年3月期(2025年度)通期決算の概要を確認しておきましょう 。
主な連結業績ハイライト
- 収益:7兆3,373億円(前期比+0.6%)
- 最終利益:6,003億円(同+6.8%/+385億円)
- ROE:12.9%(前期は12.4%)
- 年間配当金:150円/株(直近予想の140円から+10円増配)
2026年3月期は、SCSKにおけるネットワンシステムズのグループ化などの成長投資が結実したほか(※なお、大手航空機リース会社の買収完了は2026年4月で今期2027年3月期に寄与)、資産入替の進捗(マイダス社売却等)も寄与しました。
また、株主還元策として800億円規模の自己株式取得を決定したほか 、2026年7月1日を効力発生日として1株につき4株の株式分割を実施しており 、投資家層の拡大や株式の流動性向上にも取り組んでいます。
2027年3月期(今期)の通期見通しと「中東情勢・資源高」の影響
続いて、住友商事が公表している2027年3月期(2026年度)の通期業績予想と、足元で高まる地政学リスクの影響を見ていきます。
- 通期純利益予想:6,300億円(連続で過去最高益を更新する計画)
- 年間配当金予想:160円/株(株式分割考慮後:40円/株)
- 不確実性バッファー:▲300億円をあらかじめ織り込み済み
住友商事の強み:「資源比率が低め」で地政学リスクに強いポートフォリオ
大手総合商社の中でも、住友商事は非資源事業の比率が高いポートフォリオを構築しています。
2026年3月期の通期純利益6,003億円のうち、資源セクターが占める割合は約13.7%(823億円)にとどまります。
そのため、資源依存度が高い他の総合商社と比較すると、資源価格の上昇による恩恵も限定的である反面、市況下落やボラティリティの波に呑まれにくい安定感を備えています。
7月31日発表「1Q決算」のハイライトと注目ポイント
2026年7月31日(金)に予定されている2027年3月期(2026年度)第1四半期(1Q)決算において、投資家が注目すべきポイントは主に以下の2点です。
①地政学リスクに左右されにくい「国内中心の非資源ビジネス」(デジタル・AI、都市総合開発等)の着実な下支え
②大型成長投資の結実による「新・稼ぎ頭(航空機リース事業)」の本格寄与と「資源(銅事業)」の伸び
国内の安定収益源(デジタル・AI、都市総合開発)の着実な下支え
住友商事の収益基盤を支えているのが、中東情勢の緊迫化や海上物流障害の影響を受けにくい国内中心の非資源ビジネスです。
①デジタル・AI:2026年3月に完全子会社化したSCSKを中心に 、ネットワンシステムズの連結効果や国内の旺盛なITインフラ・DX需要を取り込み 、着実な利益成長が期待されます
②都市総合開発:堅調な国内不動産市場を背景に 、オフィスビル・住宅・物流施設などの資産回転の積極促進および安定した引渡しによる収益貢献が見込まれます
これらの事業が、世界情勢の不透明感が強まる中でも全社業績の土台をしっかりと固めています。
大型成長投資の結実(航空機リース事業)と「資源(銅事業)」の好調
今回の1Q決算で最大の焦点となるのが、今期から業績寄与が本格化する大型案件および強固な成長ドライバーが順調なスタートダッシュを切れたかという点です。
- 輸送機・建機(航空機リース事業):2026年4月に買収を完了した米国大手「Air Lease Corporation」が 、この1Qからいよいよ連結業績に寄与します。航空SBU全体で増益を見込む今期において 、初陣となる1Qで順調な滑り出しを見せられたかが注目されるとみられます
- 資源(銅事業):ケブラダ・ブランカ銅鉱山(QB2)の操業改善に伴う持分生産量の増加と堅調な銅価格を追い風に、持分法投資益の拡大が期待されます
- グローバル非資源ビジネス(自動車、建設機械事業等):ホルムズ海峡の混乱に伴う物流遅延や運賃・保険料高騰のマイナス影響に対し、北米などの需要捕捉やオペレーション改善でどこまでカバーできたかが問われそうです
まとめ
2026年7月22日、住友商事株は終値1,604円と前日比+1.94%の上昇となり、7月7日以来約2週間ぶりに1,600円台を回復しました。
7月1日の1株→4株の株式分割後は横ばい圏で推移していましたが、足元では上値を目指す動きとなっています。
7月31日発表予定の2027年3月期1Q決算では、地政学リスクに左右されにくい国内非資源ビジネスの下支えに加え、今期から本格寄与する航空機リース事業(Air Lease Corporation)と、銅価格上昇の恩恵を受ける資源事業の伸びなどが焦点となるとみられます。
中東情勢の緊迫化による、ホルムズ海峡の封鎖での物流マイナス影響との「答え合わせ」にも注目です。
参考
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
