保険に加入する時のステップは?
まず、保険に加入するときには、以前にお話した公的保険の保障を確認することが大切です。基本的に民間の保険は、公的保険や貯蓄ではカバーできない部分を補うために加入します。
本来保険は、不測の事態が起きたときに生活に困らないようしておくためのものです。不安だからといって、必要以上に保険に加入していたら無駄な保険料を支払っていることになります。
保険に加入するときのステップとして、
- 「今必要な(ないと困る)保険の内容を考え」
- 「いつまで必要か」
- 「いくら必要か」
を考えます。
まず、①は、不測の事態があっても困らないようにするためには、どんな保障が必要か検討します。②は、例えば、「結婚して子どもができるまで」など、なるべく具体的に時期を考えます。③は、万が一の時に困らないようにするためにはいくら必要か、おおよその金額を見積もります。
前回、20代、30代の独身の方が優先して考えたい保険として「医療保険」や「就業不能保険」を挙げました。
仮に貯蓄がほとんどなく、医療保険への加入を検討する場合、上記のステップを参考に自分にとって必要な保障を明確にしましょう。
最近の医療保険は、保障がセットされたものではなく、自分で自由に保障がカスタマイズできるタイプのものが多くなってきています。
まずは、給付限度日数(1回の入院で何日まで給付を受けられるか)を決めるのが一般的。基本的なのは、60日型となっています。
次に給付時にまとまった金額を受け取りたいなら入院一時金を設定し、手術の保障や特定疾病の一時金給付の要不要や保障の範囲も決めます。
自分に必要な保障がわかっていれば、保障を厳選して、保険料を安くすることができます。
また、医療保険の場合、入院中の入院給付金は支払われますが、自宅療養は給付の対象外となります。加えて医療保険の場合、基本的には60日型であり、入院が61日以上になると給付金の支払いはストップされます。ですから、本当に困るのは長期の療養です。
もっとも会社員や公務員は、欠勤4日目から給料の2/3が傷病手当金として、通算1年半にわたって支給されます。ですから、いきなり収入がなくなってしまうことはありませんが、がんなどの場合には、治療が何年も続くケースがあります。長期療養による収入減少に備えるためには「就業不能保険」が有効です。
就業不能保険を選ぶポイントは2つです。
就業不能状態の定義は、どんな状態になったときに保険金が支払われるかです。長期間働けない状態とみなされる基準は保険会社や商品によって異なります。
例えば、入院や医師の指示による在宅療養を条件にしている商品。もしくは、国民年金法に定める障害状態1級または2級と認定されることを条件にしている商品もあります。
また、保険金が支払われるまでの時期は、「10日以上」「60日以上」「180日以上」などさまざまです。
精神疾患が対象に含まれるかですが、働けなくなった理由のトップは「精神および行動の障害」です。ただし、すべての商品が精神疾患を対象としているわけではありません。
保険金の支払い条件も異なります。どのような状態になったら保険金を受け取れるのか確認するようにしましょう。
特約のつけすぎはNG
保険に加入する際に最初にお話ししたステップをしっかり踏んでいないと、保険会社のオススメのまま加入してしまい、結果的に保障内容がよくわからない…という状況に陥ってしまいます。
特に気をつけたいのが、大手保険会社で販売している主契約に特約をいくつもつけたパッケージ型の保険です。
特約が増えれば、それだけ保険料も高くなります。必要な保障であれば良いですが、余分な特約の保険料を支払うのはもったいない話です。
また、パッケージ型の保険は、主契約の契約が終了したり、解約したりすると、特約の保障もそこで終わってしまいます。
さらに、特約が多いと自分の保険にどんな保障がついていたのか忘れてしまいがちです。入院や死亡など万が一の時が起こった時、自動的に保険金が支払われるわけではなく、こちらから請求してはじめて保険金が支払われます。
保障内容がきちんと理解できていないと、請求漏れをしてしまう可能性があるのです。
コストの面からも特約をたくさんつけるよりも、必要な保険を選んでそれぞれジャンル別に単独で加入する方がお得になるケースが多いようです。
保険会社は、すべてのジャンルが得意なわけではありません。医療保険に強い会社、死亡保険に強い会社などそれぞれ主力商品が違います。各保険会社のホームページを見れば、得意ジャンルの商品がわかるので確認してみましょう。
保険に入りっぱなしはNG
保険に加入したら一安心。あとはほったらかしという方が少なくないのですが、ライフステージによって必要な保障は違ってきます。
ですから、全く見直しをせず、一生同じ保険に加入しているのはNGです。
保険の見直しを行うタイミングは「就職したとき」「子どもが生まれたとき」「住宅を購入したとき」「子どもが独立・就職したとき」「退職したとき」「フリーランスになった・起業したとき」など、大きなライフイベントが起こったときです。
例えば、子どもが生まれたとき貯蓄が不十分であれば、家族の生活を守る保障を検討します。また、フリーランスになったり起業したりすると、社会保障が減ってしまうので、会社員・公務員よりも積極的に貯蓄や保険などで将来のリスクに備える必要があります。
人生の中で大きなイベントがあった時に見直すようにしましょう。
図表 主な保険見直しのタイミング